文部科学省「才能教育」有識者会議

文部科学省の才能教育に関する有識者会議の進捗状況

【特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議】
*ここでの情報は、文科省ウェブサイトに公開済みの会議資料と議事録、および当日報道関係者・一般傍聴可能な会議での発言のみに基づく。
*私のコメントは公開情報に対する私見であり、会議全体の合意や報告書に反映されない可能性もある。
■ 第1回会議(2021.07.14)(会議資料)

2021年1月の中教審答申を受けて、6月に文科省に上記名称の有識者会議が設置され、7月に第1回会議(オンライン)が開催された(会議の趣旨・検討事項は、会議資料の設置要綱を参照)。私は発表で、今後の論点整理として以下の点を強調した:最近、科学技術人材育成の推進が強調されているが、領域を拡げたSTEAM教育として科学技術以外のトップレベルの人材育成を最重点目標にするのではなく、2EやGDFなど学習・社会情緒的支援を必要として、どの通常学級にもいる「困っている」才能児を救うのが、まず才能教育の出発点となるべきだ。才能教育の新しい制度は社会的合意形成を得にくいため、特別支援教育や生徒指導と連携して、通常学級での個別最適な学びを基盤とできる可能性がある。

「特定分野に特異な才能」という会議の名称は変更できないが、異能の人材育成だけに焦点を合わせるのではなく、才能のある児童生徒をもっと幅広く捉えて、「困っている」才能児への支援の観点から考える必要があるというのは、多くの委員の合意的発言であり、本会議の検討事項(2)(配付資料1参照)にも対応する。学校外との連携含めて、通常学級等で教師は手一杯の現状で、実施可能な提言のために検討すべき条件は多い。

2E教育について検討すべきことは、中教審答申でも述べられているので、その在り方の検討が課題となる。私の発表では、学習・社会情緒的支援ニーズの高い才能(2E・GDF)児の(本人・周囲が)困っている状況に教師等が気づくことを手がかりに、特別支援教育の幅を広げ、発達障害を発達多様性の一種と相対化できるという期待を述べた。

▼コメント

まずこの有識者会議は、「ギフテッド」の教育支援を検討するとは一言も言っていないが、一部報道でそう表現されたために、一般の誤解を招いている。『才能教育・2E教育概論』でも述べたように、日本で従来、国の行政レベルの会議では才能や才能教育はきちんと定義されたことはなく、「有識者」でも一般の人々でも、「ギフテッド」は突出した異能の持ち主か、あるいは2Eまたは社会情緒的困難のある才能児者(GDFに相当)と同義だと誤解している人がかなり多い。しかし才能教育は、これらを包括しながら、多様で程度の幅のある才能に応じるもので、児童生徒に障碍があっても無くても公正に才能を伸ばすプログラムに参加できるべきものだ。この有識者会議でも、才能と才能教育を広く捉える観点は共有され、語る人によって対象イメージがずれる「ギフテッド」は、この会議での議論では用いられないだろう。会議の名称は、いかにも文科省らしく長すぎるので、報道等で縮めるなら、「ギフテッド(教育支援)有識者会議」ではなく「才能教育有識者会議」と呼んでほしい。